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2025.11.05

ベランダで太陽光発電はできる?工事不要で始められる費用・発電量・メリットを徹底解説

一般的な太陽光発電は、家の屋根やビルの屋上、広大な土地に設置するものと思っている方もいるのではないでしょうか。実は太陽光発電はベランダのような限られたスペースでもできます。

本記事では、自宅のベランダで太陽光発電を始める方法について解説しています。小規模から太陽光発電を始めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

太陽光発電はベランダでもできる

太陽光発電はベランダでも導入できます。その理由は、近年「工事不要」のキットやポータブル型が登場しているためです。

狭いスペースでも置ける「小型のソーラーパネル+バッテリー+インバーター」の組み合わせによって、配線や大がかりな屋根工事なしで発電システムを構築可能です。

ポータブル電源やソーラーパネルを販売するJackeryも「ベランダ太陽光発電キット」を紹介しており、誰でも手軽に始められるような商品が市場に増えています。「屋根にしか設置できない」「広大な土地がないと始められない」という常識が変わりつつあります。

太陽光発電をベランダへ設置する方法

ベランダで太陽光発電を始めるにあたって必要な物品は下表のとおりです。

ソーラーパネル太陽光を電気へ変換する発電効率が高ければ発電量も増加する
チャージコントローラーソーラーパネルとバッテリーをつなぐ設置することで火災やバッテリーの劣化を防止
バッテリー発電した電気を蓄えるもの
インバーターバッテリーに蓄えた電気を自宅で使えるように変換する
ケーブル各機械を接続するために複数本必要

上記の物品はそれぞれ個別に購入して揃える方法のほか、メーカーが提供しているソーラーパネルとバッテリーのセットを購入する方法もあります。

実際にベランダで太陽光発電を始める際は、以下の手順で行いましょう。

  1. 1.ベランダの広さと日照時間が長い場所を確認する

太陽光発電は少しでも長く光が当たる場所にソーラーパネルを設置したほうが良いため、1日を通して日に当たる場所を確認しておく

  1. 2.設置するソーラーパネルの選定

ベランダに設置するソーラーパネルは出力に応じて発電量が変わるため、より多くの発電量を求めるのであれば高出力のソーラーパネルを選ぶ必要がある

  1. 3.ソーラーパネル以外の必要物品またはセットを購入する

チャージコントローラー・バッテリー・インバーター・ケーブルを個別に購入する。ソーラーパネルとセットになっている商品であれば必要ない

  1. 4.ベランダにソーラーパネルと必要物品を設置し、ケーブルで接続する

小型のソーラーパネルとバッテリーなどは難しい設定が一切必要ないため、ケーブルで接続して電源を投入すればすぐに発電が始まる

一戸建てのベランダで太陽光発電を始めるのは上記の流れで可能です。一方、マンション・アパートでも基本的には同様の方法で設置が可能ですが、規約やルールによりベランダにソーラーパネルを設置できない可能性があります。

トラブルを避けるためにも購入前に規約やルールを確認したり、管理会社や管理人に問い合わせたりすると良いでしょう。

ベランダで太陽光発電を行うメリット

ベランダでの太陽光発電は、屋根より小規模で始めやすい点が最大のメリットです。

工事をともなう屋根設置は費用負担が大きく、検討段階で断念する家庭も多いですが、ベランダ用キットなら置く場所の確保と配線で完結し、導入のハードルは低くなります。さらに自家消費に寄せやすい運用も魅力です。


初期費用が安いため小出力で試し、生活リズムに馴染むか評価しやすい特徴もあります。以下では費用、家計効果、非常時の安心という3つの観点から屋根設置との違いを具体的に紹介します。

導入費用の安さ

結論として、ベランダ設置は初期費用を大幅に抑えられます。架台固定や屋根貫通の電気工事を省けるため、機器構成も小規模で済むためです。

屋根設置の相場は3~5kWでおよそ85.8万~143万円に達しますが、ベランダ設置の場合は、パネル+ポータブル電源のセットを5万~30万円台から構築できる事例が多くあります。

「小さく始めて効果を検証→必要に応じて拡張」という段階導入を取りやすいのが魅力です。ベランダでの太陽光発電は、コストを下げたい家庭に適した選択肢といえます。

太陽光発電の設置費用については以下の記事で詳しく解説しています。

太陽光発電の設置費用はいくら?相場や内訳、費用を抑えるポイントなどを解説

電気代削減と自家消費のメリット

ベランダ設置では売電を前提とせず、発電した電気を自家消費する設計が現実的です。屋根設置では余剰電力を売るモデルもありますが、ベランダ用小型パネルでは売電するほど大きな発電量は期待できません。

例えば、100Wクラスのパネルを設置したケースでは、年100kWh前後の発電量が期待でき、単価換算で数千円分の電力をまかなえます。発電した電気を自家消費すれば、電気購入量の削減になり、電気代の節約につながります。

停電時の非常用電源としての役割

ベランダに設置した太陽光設備を、自立運転機能と組み合わせて活用すれば、停電時にも一定の電力を利用可能です。太陽光発電システムには停電時に「自立運転モード」に切り替え、専用コンセントから出力できる機能があると、JPEAも案内しています。

また、一部の家電メーカーでは、自立運転機能で最大1,500Wまでの電力まで対応可能という仕様も紹介されています。

具体的には、LED照明・冷蔵庫・小型家電などの低消費電力機器を動かす電力を供給可能です。ただし、発電量・蓄電池残量・機器の消費電力のバランスには注意が必要です。300Wh程度の小規模な発電量だと、スマホの充電や扇風機などの小型電子機器であれば問題なく稼働しますが、ドライヤーや電子レンジなどの消費電力の多い機器を使い続けることはできません。

使用する機器を限定したうえで、ベランダでの太陽光発電を始めれば、災害時の安心確保につながります。

ベランダで太陽光発電を行う際の注意点

ベランダへの太陽光パネル設置は屋根より導入が容易に見えますが、集合住宅では規約や構造面の制約が発生しやすくなります。設置可否を巡るトラブルを防ぐには、法律や建築上のルールをしっかり確認しておくことが必要です。

設置後も安全性や耐久性を考慮しなければ、落下事故や劣化トラブルにつながります。以下の注意点を理解してベランダでの太陽光発電を導入しましょう。

発電量の低さ・効率の制限

ベランダ設置は屋根に比べて発電量が少ない傾向にあります。これは、太陽光を受ける角度が限られ、建物の陰や手すりの影響を受けやすい点が関係しています。

特に南向き以外のベランダでは日照時間が短くなりやすく、理論上の発電量よりも実際は下回るケースが多いです。専門機関の調査でも、太陽光発電の発電量は日射角度やパネルの向きによって大きく変化するといった答えが出ています。

また、ベランダ用に販売されているポータブルパネルは100~1000Wと幅広く用意されていますが、屋根用のソーラーパネルと比較すると小規模なラインナップが多いです。

設置スペース・日照条件の制約

設置するスペースと周囲の環境も発電効率を左右します。ベランダは屋根より狭く、複数枚のパネルを並べにくい構造が多いです。手すり・壁・隣接建物の影が発電効率に直接影響するため、日照時間を確保できるかが鍵になります。

東京や大阪など都市部の集合住宅では、南向きであっても午前や午後の一部しか日が当たらないケースがあり、季節によって発電量が変動します。設置を検討する際は、影の動きを1日単位で確認し、特に冬季の日射時間を基準にするのがおすすめです。


ベランダの耐荷重にも注意が必要で、パネル1枚あたり10〜15kgほどの製品もあるため、重量制限を超えない範囲での設置計画が欠かせません。

マンション規約・法的・管理組合ルールとの整合性

集合住宅での太陽光発電は、私有スペースであっても自由に設置できるとは限りません。多くのマンションでは「共用部への工作物設置を禁止」する管理規約があり、ベランダも避難経路として共用扱いに分類される場合があります。

事前に管理組合やオーナーへ了承を取るのが基本です。国土交通省の「マンション標準管理規約」でも、共用部分の変更には区分所有者の合意が必要と明記されており、個人判断で設置すると撤去命令の対象になる可能性があります。

電気配線の改造や外観変更をともなう設置は「軽微な工事」ではないため、電気工事士による施工や建築基準法上の確認が必要になるケースもあります。

安全性・耐久性・落下リスクなど構造上の注意

ベランダ設置では、風圧や重量による構造リスクへの配慮が欠かせません。特に強風時や台風時には、パネルが煽られて転倒・落下する危険があります。これを防ぐためには、設置面の水平を保ち、架台やスタンドの確実な固定が必要です。

一般的な家庭用ポータブルパネルや小型架台は強風に弱いため、風速20〜25m/sを超える場合は一時的に屋内へ避難させるなどの対策が求められます。耐久性面では「防水性能」「塩害・紫外線対策」「結露防止構造」などの仕様を確認しておきましょう。

ベランダは屋外に近い環境のため、雨風の影響を直接受けやすいです。防水処理が甘いと配線部分から水が入り、ショートや感電の原因になります。ランニングコストの増加につながるため、設置前にしっかりと対策を実施しておきましょう。

ベランダに太陽光発電取り入れる際のポイント

ベランダ導入で失敗を避けるためには、機器選定と設置方式の最適化が重要です。発電量は方位・傾斜・影の影響で大きく変わるため、南向き×30度前後を目安に調整し、耐候性や温度特性も加味して選定しましょう。

設置方式は据え置きやポータブルの二択が中心で、住居形態や規約に合わせて負担が小さい方式を選ぶと安定して運用できます。順番に具体的な内容を解説します。

適切な機器選定

最優先は「環境に合う発電条件を満たす機器」を選ぶことです。国内では真南×傾斜30度前後が年間発電量を効率化する目安とされ、東西でも大きく落ち込まない一方、北向きは不利といわれています。

角度調整が可能なスタンドや架台を選ぶと安定した発電力を期待できます。パネル温度が上がるほど効率が低下する点も無視できないため、放熱性やパネル背面のスペースに配慮した設計・設置が望ましいです。

耐候性ではIP等級、防水処理、UV対策、風荷重の仕様を確認し、海沿いや高所なら塩害・強風への適合を優先しましょう。

出力はベランダの面積と日射で上限が決まるため、100〜400W級を複数枚で増設できる拡張性も判断材料になります。

設置方法の選択肢

ベランダでの太陽光発電には、「置き型タイプ」「手すり取付タイプ」「壁掛け取付タイプ」など、設置環境に合わせたタイプが販売されています。

置き型タイプは床面に設置して自重や滑り止めで安定させる形式で、工事不要かつ非貫通のため導入が容易です。

角度が固定されやすく、発電効率の最適化が難しい面もあります。手すり取付タイプや壁掛けタイプは、日射角度を確保しやすく、架台やブラケットを使って角度調整ができます。

ポータブルキットは折りたたみ式パネルとポータブル電源を組み合わせた構成で、取り付けや撤去が簡単です。賃貸住宅や管理規約が厳しい建物にも適し、工事を伴わない設置が可能です。

発電予測と収支シミュレーションの考え方

ベランダでの太陽光発電は、屋根設置に比べて発電量が少ないため、導入前に「どの程度の発電が見込めるか」を試算する必要があります。発電量は日射量・方位・傾斜角度で大きく変化し、南向きで30度前後の角度が最も効率的です。

平均的な200Wクラスのポータブルパネルなら、年間150〜200kWhほどの発電が期待でき、電気料金換算では3,000〜4,000円前後の節約に相当します。

国立研究開発法人・産業技術総合研究所の「日射量データベース」やメーカー提供のシミュレーターを活用すると高い精度でシミュレーションが可能です。

具体的にシミュレーションを行うことで、初期費用の回収期間や年間の電気代削減効果を可視化でき、不安やわからないといった気持ちを払拭できます。

導入前チェックリスト

ベランダ発電を安全に運用するには、設置前の確認が不可欠です。マンションや賃貸物件では管理規約で設置が制限されていないか確認してください。

特にベランダは避難経路とみなされる場合が多く、設置が共用部分扱いになるケースもあるため、事前に管理組合やオーナーの承認を得る必要があります。


次に、ベランダの強度確認をしましょう。小型太陽光パネル100W1枚の重量は5~8kg前後、200Wだと10kg程度、複数設置すると床や手すりへの負荷が増えます。

耐荷重を超えると手すりが破損したり、ベランダの床が抜けるかもしれません。そのため、メーカーが提示する設置条件を厳守しましょう。

配線についても屋外用防水ケーブルを使用し、雨水が侵入しないようコネクタ部分を保護するのが基本です。


導入前には次の項目をチェックリストとして活用してください。

  • 管理規約や建築基準法上の制約確認
  • ベランダの耐荷重と固定方法の確認
  • 防水・防風対策の有無
  • ケーブル・接続部の安全確認
  • 影・方位・日照条件の確認

チェック漏れにより、ソーラーパネル購入後に設置できない事態を回避しましょう。

まとめ

ベランダへの太陽光発電導入は、屋根設置よりも小規模ながら、手軽に始められる再生可能エネルギーの選択肢として注目されています。ポータブル型や据え置き型を活用すれば、工事不要で導入でき、停電時の非常用電源としても心強い存在になります。

一方で、発電効率や設置条件には制約があるため、日照環境・耐荷重・管理規約の確認を怠らないようにしましょう。特にマンションや賃貸住宅では、共用部分に関するルールの把握が不可欠です。

正しく設計されたベランダ太陽光は、家庭での電力自給を後押しし、光熱費削減や環境負荷の軽減につながります。

ソライズでは、各種メーカーのソーラーパネルを準備しています。お客様の環境に適したソーラーパネルの提案もできるため、興味のある方は以下のリンクよりお問い合わせください。

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