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太陽光発電の減価償却とは?計算のコツと注意点まとめ
太陽光発電の設置費用は減価償却による会計処理ができます。しかし、設置した人すべてが対象というわけではありません。申請不要なのに、慣れない減価償却に時間を費やすのは非効率といえるでしょう。
この記事では、太陽光発電の減価償却についてや具体的な計算方法と注意点を紹介しています。減価償却が必要なのか判断できない方や、減価償却のやり方がわからない方は参考にしてください。
太陽光発電における減価償却とは
太陽光発電は、原則として「減価償却資産」に該当します。減価償却とは、設置費用などの取得価額を法定耐用年数にわたり分割して、経費として計上する会計処理のことです。
事業用太陽光発電では、全量売電型・自家消費型どちらも減価償却の対象になります。一方、住宅用太陽光発電の場合は、自家消費が中心で発電量も限られるため、売電収入が年間20万円を超えるケースはまれです。
ただし、不動産収入など他の副収入と合わせて合計所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要となり、減価償却を行うことが可能です。
もし減価償却以外の方法で導入コストを抑えたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
【2025年最新版】蓄電池の補助金一覧|愛知県内の制度を中心に6つ紹介
太陽光発電における減価償却の計算方法
太陽光発電の減価償却を行うには、まず「法定耐用年数」を正しく理解することが大切です。法定耐用年数とは、資産が使用可能と見なされる期間を法律で定めたもので、減価償却費の計算に欠かせません。
太陽光発電設備の場合、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により、事業用として設置されたものは「主として金属製のその他の設備」に該当し、法定耐用年数は17年と定められています。
ただし、自家消費を目的とした住宅用太陽光発電では、設備の用途により扱いが異なる場合もあるため注意が必要です。例えば、自宅で使用する電力のために設置した場合は、原則として生活用資産とみなされ、減価償却の対象外です。
減価償却できるのはあくまで、事業として設置した場合に限られます。ここからは、減価償却の具体的な計算方法である「定額法」と「定率法」について解説していきます。
定額法
定額法とは、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。計算式は「取得価額×定額法償却率」で求められます。
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年で、定額法償却率は0.059と定められており、既定の数値を計算式にあてはめます。例えば、300万円の太陽光発電システムを導入した場合、年間の減価償却費は「300万円×0.059=17万7,000円」です。
定額法の特徴は、耐用年数の間、一定額を安定して経費計上できる点です。計算がシンプルで管理しやすく、長期的にコストを均等化できる一方、初年度の節税効果が小さいというデメリットもあります。
定額法は安定した経費計上を重視する場合に適した方法です。
定率法
定率法とは、設備を取得した初年度に多くの減価償却費を計上し、年を追うごとに償却額が減少していく計算方法です。計算式は「未償却残高(初年度は取得価額)×定率法償却率」で求められます。
太陽光発電設備の法定耐用年数が17年の場合、定率法償却率は0.118です。例えば、400万円の太陽光発電システムを導入した場合、初年度の減価償却費は「400万円×0.118=47.2万円」となり、翌年は残高(400万円-47.2万円)×0.118=41万6,304円となります。
初年度に多くの費用を計上できるため、導入初期の節税効果が期待できる点が大きなメリットです。一方で、年々償却額が減るため、長期的には経費計上額が小さくなってしまいます。
法人では、太陽光発電設備の減価償却方法として、定率法を採用するケースが一般的です。
太陽光発電の減価償却をする際の注意点

太陽光発電の減価償却をする際の注意点は以下の5つです。
- ・売電を含む副収入が年間20万円超えなら減価償却必要
- ・補助金を受けた場合は費用から差し引いて減価償却
- ・一度決めた償却方法は3年間変更不可
- ・法定耐用年数は正しく確認する
- ・設備を処分したら除却処理を忘れずに
順番に解説していきます。
売電を含む副収入が年間20万円超えなら減価償却必要
給与所得がある方で、余剰電力を売電した収入と不動産収入などの副収入を合わせて年間20万円以上になる場合は、確定申告が必要です。
20万円を超えると収入に応じて税金を支払う必要がありますが、減価償却をすれば課税対象となる金額を減らせます。
売電収入以外の収入がある方で年間20万円を超えるのであれば、定額法または定率法による減価償却を行い、支払う税金を減らしましょう。
なお、専業主婦や個人事業主などの給与所得がない方は、令和7年分から合計所得が132万円を超えたら確定申告が必要になるため、減価償却をすれば支払う税金を減らせます。
補助金を受けた場合は費用から差し引いて減価償却
太陽光発電設備を設置する際に、国や自治体から補助金を受けた場合、減価償却として計上する金額は、設置費用から補助金額を差し引かなければいけません。
例えば、設置費用300万円、補助金額20万円だった場合は、300-20=280万円が減価償却の計算で使用する「取得価額」となります。
一度決めた償却方法は3年間変更不可
減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、一度どちらかを選択すると、原則として3年間は変更できません。これは、会計処理の一貫性を保つために定められたルールです。
例えば、初年度に節税効果を重視して定率法を選んだ場合でも、翌年から定額法への切り替えはできません。もし3年経過後に償却方法を変更したい場合は、管轄の税務署で手続きを行う必要があります。
法人であれば変更届の提出期限は「変更予定の事業年度開始日の前日まで」と決まっているため、早めの準備が重要です。適切なタイミングで償却方法を見直すことで、節税効果や資金繰りの最適化にもつながります。
法定耐用年数は正しく確認する
減価償却を行う際は、法定耐用年数を正確に把握することが非常に重要です。耐用年数を誤って設定すると、減価償却費の計算がずれてしまい、修正申告などの手間が発生するおそれがあります。
先に解説したように、太陽光発電設備の法定耐用年数は17年と定められています。法定耐用年数と償却率は国税庁が公表する「減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表」に記載されているため、減価償却費を正しく計算するためにも必ずチェックしておきましょう。
会計処理を正確に行うには、最新の情報をもとに耐用年数を確認しておくことが大切です。
設備を処分したら除却処理を忘れずに
太陽光発電設備を撤去・売却などで処分した場合は、「除却処理」を行い、生じた損失を「固定資産除却損」として処理します。
この処理を行わずに放置すると、すでに存在しない設備に対しても償却資産税が課税され続ける可能性があるため注意が必要です。
除却処理では資産台帳から設備を削除し、帳簿上の残存価額を損失として処理します。
正しい会計処理を行うことで、不要な税負担を防ぎ、企業の財務状況を正確に把握できます。処分の際は必ず除却処理を忘れないようにしましょう。
まとめ
太陽光発電システムを設置した場合、事業用であれば減価償却を行い、税負担を軽くできます。しかし、一般家庭に設置した場合は、基本的に減価償却はできません。
記事内で解説したように、給与所得がある方は20万円以上、給与所得がない方は令和7年分から132万円を超えた場合に減価償却可能です。
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